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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2017.01.16

「悠久の国インドへの挑戦」41 忘れ得ぬ出来事:インドを離れる日II

藤崎 照夫

ガンジス川

これまで40回を超えるシリーズとしてインドでの私の経験談を中心としてこのコラムを書いてきましたが、そのインドを離れる日がいよいよ近づいて来た訳です。先月号で本社からの台湾への急な赴任命令が届いたことはお伝えしましたが、実は台湾は私にとって個人的には大変縁が深い国でした。先ず終戦直後に私は台湾で生まれて両親や姉、兄達と日本へ引き揚げて来た経験を持っていますし、若い時に最初の海外駐在地として家族と一緒に生活を共にした国でした。

その駐在時代は二輪車の製造販売の会社と合弁契約を締結し初代駐在の一員として3年ほど仕事をしました。今回超短期間での新会社の立ち上げを命じられたのは台湾での過去の駐在経験も考慮されたのかもしれないと暫くしてから思料した次第です。いずれにしてもホンダでも過去に例のない8ヶ月での新会社の立ち上げをしなければならないということで、すぐに幹部社員の採用をすることが火急の仕事と言うのでインドから台北へ出張で出かけました。空港には台北にあるホンダ事務所の所長のI君が出迎えてくれて早速翌朝に仮事務所へ出向きました。

事務所は台北の目抜き通りのビルの1室でしたが、I君が簡単な応接セットと机や椅子などの最低限必要な用品を揃えてくれていて、幹部社員の採用面談の為の通訳も採用してくれていました。現地の新聞、雑誌、には「ホンダが100%出資の四輪製造販売の新会社を設立予定」と既に報道されていたようで、新聞で幹部社員の採用計画を出したところ沢山の応募者があり、既にI君が書類選考をしてくれていましたが、私も全ての応募書類に目を通しその中から採用面談をする人達を選びました。

先ず会社の基本的な業務を取りまとめる総務の幹部社員から始まり営業、サービス、部品、購買等の部課長クラスの幹部社員の面談を1日10時間ぐらいかけて実行しました。中には即決でOKを出せるような人もいましたが結果は後日別途連絡するということにしました。部門によっては適当な候補者がいなくて再度リクルート会社に連絡をして候補者をリストアップして貰うケースもありました。製造関係は工場の駐在責任者が決まった時点で改めて面談をすることにして私は一旦インドへ帰り少し間をおいてもう一度台北へ出張して10数名の最初の幹部社員の採用を決めた次第です。

インドでは後継者となるY君への引き継ぎ書類の作成をやりながら連続する送別会に追われる日々が続きました。インドは何度も書きましたが2度目の駐在で10年近く仕事をした関係で販売店関係者、部品メーカー、銀行や保険会社等の金融関係者、それにデリー日本人会の会長を1年間やりまたデリー商工会の副会長を2年に亘り勤めた関係もあり多数の日本人関係者等々沢山の方達から送別会の声をかけて頂き夜の会食やパーティーではこなしきれなくなりどうしても時間を取って欲しいという数名の方とは日中にゴルフ送別会もやることになりました。

その送別会の中にはインドならではというものもありましたのでご紹介しますと、個人的にも大変親しくして家族ぐるみでお付き合いしていた部品メーカーの社長が他のインド人も招待して自宅で送別会をやるので奥さんと一緒に来て欲しいということになり、招待状に書いてある時間に家内と出向いたところ自宅には誰もいなくてサーバントに聞いたらご夫婦で外出していていつ帰るかは聞いていないとの返事でした。

我々夫婦は手持無沙汰で何もやることがなくその友人夫婦の帰宅を待っていましたが、どうやらプレゼントを買いに行っていたようですが、結局パーティーが始まったのは予定を大幅に過ぎた夜の10時近くでした。この友人は日本人との付き合いも多い人でしたが、そういう人でも時間に対しては大変おおらかで、これがインド時間だと改めて認識しました。次回はいよいよ最後の日について書かせて頂きたくよろしくお願い致します。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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