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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2017.03.13

「悠久の国インドへの挑戦」43 インド基礎知識そのⅠ:ベジタリアンについて

藤崎 照夫

野生のヤギ(インド)

これまで最初の執筆から3年半インドでのビジネス展開を軸にして42回のシリーズを皆様にお届けし、最終回はインドを離れる最後の日の様子で筆を擱かせて頂きましたが、今回から内容を変えてインドに関する基礎知識や生活上の留意点などを話題に選び、お読み頂こうと考えています。日本を代表するものとしてかつては富士山、桜、芸者等の言葉が使われましたが、インドと言ったら多くの日本人の方がすぐに思い浮かべるのはカレー、タージマハール、IT、ベジタリアンなどではないでしょうか。

今回はインド基礎知識の第1回としてこのベジタリアンについて書いてみたいと思います。最近は日本でもインド料理は一般的になってきており、読者の中にもインド料理店に足を運ばれた経験をお持ちの方はかなりいらっしゃるのではないでしょうか。私の知人のインド人によれば東京を中心とした関東近県だけでも現在は300を超えるインド料理店があるそうです。

私も10年近いインド駐在を経験していますので色々なインド料理を食べましたが、地域によってその味付けも料理の内容もかなり異なりますが、私もインドに赴任する前はベジタリアンと呼ばれる菜食主義者の人達は栄養が充分に取れなくて痩せていて寿命も短いのだろうなというような認識でしたが、実際は全然違っていました。私が最初にインドで仕事をした合弁会社のパートナーの会長は完全なベジタリアンでしたが91歳までの長寿でした。

一般的には我々はベジタリアンという言葉でひとくくりしますが、ベジタリアンも色々なタイプがあります。最も厳しいベジタリアンは野菜の中でも根菜さえ食べません。ジャガイモ、玉ねぎ、人参、大根などもご法度だそうです。その理由は根菜は採集する時に地下にいる虫や細菌を傷つけるからという事だそうですが、所謂空衣派と呼ばれて基本的には身体に何もまとわない人達はこのルールを守っていると聞きました。

また野菜と鶏の無性卵は食べるが有精卵は食べないグループもいるようですし卵までならOKという人達もいるようです。彼等の理論は卵は牛乳と同様に殺生しないから大丈夫ということで彼等のことをエグタリアンとも呼ぶようです。また一般的にはインドでは牛は聖なる生き物として崇められているので牛肉は絶対に食べないと思っている日本人は多いと思いますが、私の知人のインド人の中にはステーキやしゃぶしゃぶが大好きだという人もいます。

このベジタリアンということで私が今でも思い出すことがあります。それは最初のインド赴任時に優良部品メーカーの人達を日本に招待した時の事です。
インドのベジタリアンの人は厳しくそのルールを守ると聞いていたので事前にノンベジかベジタリアンかを全員に聞いて日本での旅先での食事をするレストランにベジタリアン用は絶対に間違えないように提供して欲しいと連絡を入れておきました。

然しながらインドを離れて機内食が提供された時からベジタリアンとして登録していた人が「ノンべジの食事を食べたい」と言いだして混乱したのを皮切りに日本に到着してからもノンべジに提供された食事を見て自分もこれが食べたいというケースも度々ありこちらからの事前連絡でノンべジとベジタリアンの食事を人数分きちんと用意していたレストランで度々ご迷惑をおかけしてしまいました。

つまりベジタリアンも色々なタイプがあることとインドを離れると変身するベジタリアンもいるということをご紹介して今回の稿を終わらせて頂きたいと思います。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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