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2018.03.12
原島 一男
“Butter tea, it was never my cup of tea. “
「バターティーですって、 私の好みではありません」
(セブン・イヤーズ・イン・チベット)
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
インドの英国捕虜収容所から脱出したオーストリアの登山家ハインリヒ・ハリー(ブラッド・ピット)。
ハリーはチベットの若き宗教指導者ダライ・ラマ(ジャムヤン・ジャムツフォ・ワンジュク)と7年間にわたる親交を持つことで、思いがけない豊かな人生への刺激を受けていきます。ある日、バター入りの紅茶を勧められて…。
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Harrer: Butter tea, 「バターティーですって、
it was never my cup of tea. 私の好みではありませんけど。
No, no. One was enough. 1杯だけで結構です」
Man: Yes. We must follow the custom. 「習慣に従わなくては。
A fresh cup of tea is poured for 新鮮な一杯の紅茶は
the loved one departing. 旅立つ愛する人のために注ぎます。
No. It sits untouched, いいえ。このままにして、
waiting for his return. その人の帰りを待ちましょう」
--「セブン・イヤーズ・イン・チベット」 (Seven Years in Tibet 1997
監督:ジャン・ジャック・アノー 脚本:ベッキー・ジョンストン)
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なんとも不思議な英語ですけど、意味することはわかります。遠方へ行く人のために紅茶を振る舞うという習慣が根付いていたのでしょう。
最近では、バター入り紅茶ならぬ、バター入りコーヒーはそれほど珍しくありませんが、この時代には、チベット以外に暮らす人にとっては、紅茶にバターを入れるとは考えられなかったのでしょう。
今では、世界のどこでも、コーヒーにココナツオイルとバターを入れたり、シナモンスティックを入れたりしていますよね。
・ my cup of tea = 私の好きなもの/私の性に会うもの
この表現はいつも否定文で用いられます。モノに限らず、行動や人に対しても使える
eg.“Karaoke is not my cup of tea.” 「カラオケはどうも苦手です」
“He is rich, but he is not my cup of tea. 「彼は金持ちですが、わたしの好みではありません」
・ It sits untouched = 触らないで、そのままにしておく
sit という動詞は、「その状態のまま」を表します。
eg. sit around = ぼうっとしている/ダラダラと時を過ごす
sit down = 座る、着席する
sit back = 何もしないでいる/(椅子に)ゆったりと座る など
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原島 一男
Kazuo Harashima
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。