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COLUMN コラム

名画から選んだ美しい英語

2017.06.05

名画から選んだ美しい英語(130)

原島 一男

“I can take you if you want. Or I can tell you.”
「よろしければ、案内しましょうか。それとも説明しましょうか」
(マディソン郡の橋)

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 ロバート・ジェームズ・ウォラーの小説を映画化した「マディソン郡の橋」。
カメラマンのロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)と農家の人妻で家族持ちのフランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)の出会い。
 アイオワ州・ウインターセットはのどかな田舎の町。ローズマン・ブリッジのへ道順を聞かれて、フランチェスカは道順を説明するのですが、近いといっても、左へ行ったり右へ行ったりY字路へ出たりで、なかなか要領を得ません。そこで、彼女はこう言います。

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FRANCESCA:  Well, I can take you if you want.            「よろしければ、案内しましょうか。  
    Or I can tell you.  I can take you or tell you. それとも説明しましょうか。案内でも説明でも。
           Either way?  It's up to you. I don't care.       どちらでもお好きなように。どちらでも」

―「マデイソン郡の橋」(The Bridges of Madison County   1995 監督:クリント・イーストウッド  
 脚本:リチャード・ラグラベネシ)

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・if you want =「よろしかったら」と相手を気遣いながら、ものを提案するときに適切なフレーズ

使い方としては、

・I'll let you know later if you want.  「よろしければ、あとで知らせます」
・if you want I can drive you home. 「かまわなければお宅まで車で送ります」

・Either way? = 「どっちの方法でも」
・It's up to you. =「あなた次第です」
・I don't care. =「私は構わない」

 オリジナルの小説では、その場面は「彼女の体のなかでなにかが跳ね上がった」(Something jump inside.)と書かれています。彼女の心の内を something jump inside の3つの単語で言っているわけで、これが映画とは違う小説の文章の強さです。
 美しい女性から道を案内すると言われて、断わる男性は多分いない。
 しかし、それが全ての始まりになろうとは。知っていたのは神のみだったことでしょう。


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原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE

一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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