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2017.07.03
原島 一男
“In less than a year, I'll be dead.”
「1年以内に私は死ぬ」
(アメリカン・ビューティー)
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
アメリカの郊外の住宅地に生活する中流サラリーマン家族をコミカルに、シニカルに、また残酷に描く「アメリカン・ビューティー」。
ガーデニングが行き届いた庭、広い家。高級家具、最新の設備。物質的には豊かなのに、不毛、孤独、閉塞も同居しています。
これは、映画の冒頭の見た目には平和で幸せそうな俯瞰映像をバックにした主人公レスター(ケビン・スペイシー)の言葉。
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LESTER: This is my street. This is my life. 「これが私の街、私の生活がある。
I'm forty-two years old. 私は42歳だ。
In less than a year, I'll be dead. 1年以内に私は死ぬ。
Of course, I don't know that yet. もちろん、私はそのことは知らない。
And in a way, I'm dead already. しかし、ある意味では私はもう死んでいる」
-「アメリカン・ビューティー」 (American Beauty 1999年 監督:サム・メンデス 脚本:アラン・ボール)
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主人公はシンプルなフレーズを使って、自分のことを話しています。
『こんな自分なら死んでいるも同然だ』と締めくっているのですが、その後、彼はふとしたことから生きがいを見い出します。
それが映画のテーマになっています。
ここで、単語 less(より少ない、〜なし、引く(計算式で))の使い方を復習しておきましょう。
・「 6 引く 2 」= Six less two.
・「彼は無害です」= He’s harmless.
・「この本は税金なしで1,000円です」= This book is a thousand yen, less tax.
・「それ以上でも、それ以下でもなく」= No less, no more.
・「1年以内に」= In less than a year.
・ in a way = ある意味では
この映画に出てくる人物は、いずれもごく平均的な生活を送っている人たちです。
主人はリストラの波にさらされ、夫婦は倦怠期、娘は反抗期で親と断絶しています。
ビジネス、学校、家庭の場面では、自分の身の回りのことや経験したことを具体的に説明する日常的な英語表現を学ぶことができます。
人がただ“美”だけを追い求めたとしたら、どんな結果を生むのか?映画は、その答えを出そうとしているのですが。
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原島 一男
Kazuo Harashima
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。