文字サイズ
2017.11.20
原島 一男
“Job is good. Really good.”
「仕事は順調。とても順調」
(僕たちのアナ・バナナ)
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
“アナ・バナナ”というニックネームを持つアナ・ライリ−(ジェナ・エルフマン)はカソリック神父になったブライアン(エドワード・ノートン)とユダヤ教会のラビになったジェイク(ベン・スティラー)の小学校時代の幼なじみです。行動的で頭脳明晰、正義の味方、それにクラス1の美人だった彼女。そのアナが16年ぶりにロサンゼルスからニューヨークへ戻ってきます。空港での3人の会話。
----------------------------------------------------------------------------
ANNA: How are you? Who Are you? 「しばらく、どうしてた?なんでも 話して。
Tell me everything. Job, girls, news?” 仕事は、いい人は、ニュースは?」
BRIAN: No, I know about him. You start. 「いや、ジェイクのことより、アナのことから」
ANNA: Job is good. Really good. 「仕事は順調。とっても順調。
JAKE: Men? 「男性関係は?」
ANNA: I take yoga. That’s my life. 「ヨガ習ってるの。夢中よ。
I don’t have time for relationships. 男性との時間はないわ。
I work 100 hours a week. 週100時間も働いているのよ」
-「僕たちのアナ・バナナ」(Keeping the Faith 1999年 監督/主演:エドワード・ノートン
脚本:スチュアート・ブランバーグ)
----------------------------------------------------------------------------
カルバン・クラインの洋服を着こなし、現代を一身に背負ったビジネス・ウーマンになったアナは、話し方にも無駄がありません。
・How are you? Who Are you?:「元気?あなたは誰?」=「しばらく、どうしてた?」
・Job, girls, news?” : 「仕事は、いい人は、ニュースは?」と、3つの単語で全てを言い表している。
・No, I know about him. You start.: ブライアンは横にいるジェイクのことは知っているので、
彼女のことを話してくれと言っている。
・That’s my life. : 生活のすべて → 夢中になっていること。
・I take yoga. I don’t have time for relationships. I work 100 hours a week. :
この3つのセンテンスは自分が置かれた状況/習慣を説明しているので、いずれも現在形を使っている。
この映画は俳優エドワード・ノートンの初監督作。プロモーションのため、東京を訪れたノートン監督に直接聞いてみました。
KH:「あなたの映画では、名詞の積み重ねだけのせりふが多いようですが、意識してこういう会話を作ったのですか?」
EN: 「あれは、知り合いの女性がああいう口調で話すので使ってみた。電話で名詞だけで話すんです。これは、彼女に対する贈り物です」
KH: 「簡潔ですばらしい。ニューヨークのビジネス社会では、こんな英語を使っているのでしょうか?」
EN: 「さあ、ビジネスの人たちとはつき合いがないので、よく知りません」
なお、原題のKeeping the Faith は、「貞節を守る」「信仰を守る」。信仰に忠実であると同時に自分にも忠実であれ、と説いています。
原島一男著「心をなごませる感じのよい英会話」(ベレ出版) 好評発売中
原島一男著「単語で通じる英会話」 (ベレ出版) 好評発売中
原島一男著「映画のなかのちょっといい英語」(麗澤大学出版)好評発売中
原島 一男
Kazuo Harashima
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。