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2018.06.04
原島 一男
“Looks the same, smells the same, feels the same.”
「(自分の家は)見たところも匂いも感触も同じだ」
(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)
名作映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
アメリカ南部の街ニューオーリンズで、第一次大戦が終わった1918年、河のほとりに置き去りにされた赤ん坊がいました。その子は80歳の肉体を持った境遇で生まれ、普通の人とは反対に、年ごとに若返って行きます。そのベンジャミン(ブラッド・ピット)が、青年になり、船乗りや兵役などを経験したあと、久しぶりに故郷へ帰ってきました。
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BENJAMIN: It's a funny thing 「家へ帰ってみると
about coming home. Looks 不思議なことを発見する。
the same, smells the same, どこもかも変わらない。見たところも匂いも
feels the same. You'll realize 感触も同じだ。変わったのは自分だけだと
what's changed is you. いうことが分かる」
そこへ、前からの知り合いのデイジー(ケイト・ブランシェット)が現われます。
BENJAMIN: Daisy... it’s me, Benjamin. 「デイジイ、ぼくだよ。ベンジャミンだよ」
DAISY: Benjamin... of course it’s you 「ベンジャミン、もちろん、あなたよね
Benjamin, how are you? It’s been お元気、ベンジャミン。久しぶりだわ。
such a long time. There is 長い間どうしていたの。
so much I want to know... いろいろ知りたいわ。
when did you come back? いつ帰ったの?」
BENJAMIN: Well I got back a few weeks ago... 「うん、数週間前に帰ってきた」
-「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 (The Curious Case of Benjamin Button 2008
監督:デビッド・フィンチャー 脚本:エリック・ロス 原作:F. スコット・フィッツジェラルド)
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・“Looks the same...” = It looks the same...
「同じに見える、、、」(主語の it が省略されている)
・“You'll realize what's changed is you.”
=「変わったは自分だということが分かる」
・“Of course it’s you Benjamin, how are you?”
=「ベンジャミン、もちろん、あなたよね。お元気?」
・“It’s been such a long time.”
= 「久しぶりです」(相手と久しぶりで出会ったときの標準的な表現)
・“There is so much I want to know.” = 「知りたいことがたくさんあります」
ベンジャミンにとって,いろいろな経験の中でも生まれ育ったところの記憶は、いつでも懐かしく、忘れることはありません。普通の人とは異なる境遇に育ち、逆に年齢を重ねるベンジャミンでも、考えることは同じです。
原作はアメリカの作家 F. スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書いた短編小説。
これを、デビッド・フィンチャー監督は、老年から壮年、青年期を経て幼児となって亡くなるまでの男の一生を歴史ドラマの長編に仕上げています。
フィンチャー監督の話:「1949~50年代のベンジャミンのモデルはジャーナリストだった父親です。観察的な”時代の証人”としての視点を持った人でした。そんな父の生き方を、ベンジャミンに投影しました。またパリやニューヨークで過ごした父のロマンチックな青年時代を想像し、ベンジャミンの青春と重ね合わせました。父もきっと気に入ってくれると思う、、、」。すでに他界した父親にこの映画を見せたかったといいます。
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原島 一男
Kazuo Harashima
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。