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2018.09.10
原島 一男
“You are a wonderful great tennis player.”
「きみは最高のテニス・プレーヤーだ」
(アニー・ホール)
名作映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
才人といわれるウデイ・アレン。自分自身の1970年代の実生活を映画化した「アニー・ホール」。
アルビー(ウッディ・アレン)は歌手志望のアニー・ホール(ダイアン・キートン)との生活を通じて男と女の生きざまを見つめます。
最初の出会いはテニスコート。そのあと、アニーの車で送ってもらうのですが…。
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ALVY: You are a wonderful great tennis player. 「きみは最高のテニス・プレーヤーだ。
You're the worst driver きみはぼくが会った
I have ever seen in my life. 最悪のドライバーだ。
And I love what you're wearing. でも、着てるものは大好きだ」
ANNIE: Yeah? Oh... This was a present 「そう? おばあちゃまからの
from Grammy Hall. My Grammy. プレゼントなの」
ALVY: Your Grammy? Where did you grow up? 「おばあさんだって?あなたはどこで育ったの?
In a Norman Rockwell painting? ノーマン・ロックウェルの絵の中で?」
ー「アニー・ホール」 (Annie Hall 1977 監督:ウッディ・アレン
脚本:ウッディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)
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女性への褒め方は、いろいろあります。
アルビーは、まず、アニ−のテニスの腕前を褒める。そのあと、ドライブの仕方をけなす。それから、洋服のセンスを誉めています。
最新のファッションではなく、一時代前の服装を自分で着こなしている彼女の感覚がいいと。
ちょうどノーマン・ロックウェルの絵から抜け出してきたようだ、と。
・“You are a wonderful great tennis player.” =「あなたは最高のテニス・プレーヤーです」
(wonderful と great の二つの形容詞を重ねて相手の ’すばらしさ’ を強調している)
・“You're the worst driver I have ever seen in my life.”
=「あなたはぼくがこれまでに人生の中で出会った最悪のドライバーです」(現在完了形)
・“I love what you're wearing.” =「あなたが今着ているものは大好きです」(現在進行形)
一世を風靡したアメリカの画家ノーマン・ロックウェルは、人々の生活を暖かく描き続け、ユーモアとペーソスにあふれた作風は‘旧き良き時代の’アメリカを彷佛とさせます。
1920年から60年代までアメリカの代表的な週刊誌『サタデー・イブニング・ポスト』の表紙を飾っていました。
黒の帽子。黒のベスト。男性のようなワイシャツにネクタイ。だぶたぶのカーキ色のパンツ。
そんな服装を褒められて、”This was a present from Grammy Hall. “(祖母のグラミー・ホールからもらいました)とすっかりうれしくなったアニーでした。
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原島 一男
Kazuo Harashima
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。