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2018.08.20
小川 達大
ベトナムのEC事業者 Sen Do Technologyが、5,100万USDの調達(第三者割当増資)をプレスリリースしました。引受先は、SBIホールディングスなどの企業群です。昨年のベトナムのスタートアップの調達額ランキングを見ても、今回の調達額が非常に大きなものであることが分かります。
Sen Do Technologyは、ベトナムのITサービス大手のFPTグループの企業です。FPTグループは、いわゆるオフショア開発サービスから事業展開を広げ、オフショア拠点としてのベトナムの地位を確立した立役者の1社です。
Q&Meベトナムリサーチによると、ベトナムで最も有力なECサイトは、Lazadaというサイトです。Lazadaは、ドイツのロケットインターネットというベンチャー事業開発会社がASEANで展開していた事業でしたが、現在は、中国のAlibabaグループの傘下にあります。あとはSen Do Technology以外には、Shopee(シンガポール系)と、Tikiなどがあります。Tikiは、ベトナムのオンラインサービス提供会社のVNGグループも出資していましたが、上記のとおり中国のTencentグループの小売事業を担うJD.comが出資をしています。(他には、facebook上で、売買をするケースも、ベトナムでは多いです。)さらには、Amazonも、ベトナム進出を宣言した、というニュースも出ています。
ベトナムのEC業界は、ASEAN生まれのLazadaと、ベトナムのIT業界を牽引してきた2社が展開するSen DoとTikiが中心でした。そして業界は、次のステージに移りつつあります。中国からAlibabaとTencent(JD.com)が競争に参加し、Amazonも機会を伺っています。今や、ベトナム市場は、「ローカルな戦場」ではなく、「グローバルな戦場の1つのエリア」となっています。そして、SBIホールディングスなどの日本企業群も、その戦いに参加しています。
それでは、ヘンガップライ!
小川 達大
Tatsuhiro Ogawa
経営戦略コンサルティング会社Corporate Directions, Inc. (CDI) Asia Business Unit Director。同ベトナム法人General Director、同シンガポール法人Vice Presidentを兼任。 日本国内での日本企業に対する経営コンサルタント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、消費財メーカー、産業材メーカー、サービス事業など様々な業種の東南アジア展開の支援を手掛けている。ASEAN域内戦略立案・実行支援、現地企業とのパートナリング(M&A、JVづくり、PMI等)支援、グローバルマネジメント構築支援など。日本企業のアジア展開支援だけでなく、アジア企業の発展支援にも取り組んでおり、アジアビジネス圏発展への貢献に尽力している。
CDI Asia Business Unit