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COLUMN コラム

ベトナムビジネスで見た景色

2018.06.25

【ベトナムビジネスで見た景色(42)】「台湾」というパートナーの可能性

小川 達大

 先日、私が所属するコーポレイトディレクション(CDI)が、台北市にて、台湾経済研究院(TIER)との「日台戦略的提携プラットフォーム」設立を記念したセミナーを開催致しました。

 日本企業・台湾企業の連携が持つポテンシャルについては、以前より多く論じられてきましたが、 成功事例として挙げられるものはまだまだ少ないと認識しております。そこで、日本企業に対する経営コンサルティングにおいて30年超の経験を有するCDIと、 台湾で最も歴史ある民間シンクタンクとして台湾政府・企業との幅広いネットワークを有するTIERが協力し、 日台連携の具現化を支援するプラットフォームを立ち上げました。

 私は、「台日連携による『南進政策』推進 -ASEAN市場攻略―」と題して講演をいたしました。台湾政府は、南進政策として、東南アジア地域への台湾企業の展開を後押ししています。そういったトレンドにも乗りながら、日本企業が、東南アジア地域での競争力を高めるために、台湾企業と連携することが有効なのではないか、という議論です。

 特にベトナムでは、台湾企業の歴史は長いため、コスト競争力がありながらも品質が担保されている台湾企業が、日本企業の有効なサプライヤーになる、という議論は、以前から、されてきました。実際、ジェトロのベトナム事務所も、台湾貿易センターと共同で、商談会を開催しています。

 ここでは、サプライヤーとしての関係以外にも、日本企業と台湾企業の連携の在り方(の可能性)を提示してみたいと思います。

 日台連繋のLevel 1 が「サプライヤーとしての関係」だとすると、Level 2 「新興国事業経営のパートナー」、Level 3「共創イノベーションのパートナー」という可能性があるのではないかと思っています。

 日本企業の海外展開における大きな悩みの1つは、「海外事業を経営できる人材が不足している」というものです。意思決定のスピードや大胆さが求められる新興国市場では、例えば「関係者全員の合意を形成する」というような丁寧なコミュニケーションのスタイルはむしろ足枷になるかもしれません。台湾企業は、アジア全体に活動のベースを広げることを運命付けられている存在でもありますから、新興国事業の経営における日本企業の弱点を補ってくれるパートナーになるかもしれません。
 

 あるいは、台湾では、エレクトロニクスを中心とした産業がグローバルな競争力を持っていますし、そこから派生して、日本よりオープンなイノベーションの環境が整いつつあります。一方で、日本には、長い産業発展の歴史に裏付けられた足腰の強い技術基盤があります。この2つをミックスすることによって、世界中で競争力を持つような新しい技術やサービスが生まれる可能性もあります。

 これまで、日本企業にとってアジアは、生産拠点であったり、市場であったり、何らかの活動を仕掛ける「対象」でありました。しかし、それぞれの特徴を活かしたパートナーシップを組む相手として、アジアを捉える、という考え方も広がりつつあります。台湾企業は、そのパートナーとして、魅力的な候補かもしれません。

 それでは、ヘンガップライ!

小川 達大

Tatsuhiro Ogawa

PROFILE

経営戦略コンサルティング会社Corporate Directions, Inc. (CDI) Asia Business Unit Director。同ベトナム法人General Director、同シンガポール法人Vice Presidentを兼任。 日本国内での日本企業に対する経営コンサルタント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、消費財メーカー、産業材メーカー、サービス事業など様々な業種の東南アジア展開の支援を手掛けている。ASEAN域内戦略立案・実行支援、現地企業とのパートナリング(M&A、JVづくり、PMI等)支援、グローバルマネジメント構築支援など。日本企業のアジア展開支援だけでなく、アジア企業の発展支援にも取り組んでおり、アジアビジネス圏発展への貢献に尽力している。
CDI Asia Business Unit

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