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2018.11.05
小川 達大
前回のコラムでは、クアン国家主席の逝去について触れました。以降の議論の結果、チョン書記長が国家主席を兼任することになりました。
ベトナムでは、書記長、国家主席、首相、国会議長の4人が集団指導体制を採ることが一般的ですので、今回の決定は極めて異例ということになります。
新聞などでは、チョン氏への権力の集中について、触れられています。
ベトナムをはじめ新興国では、政治の状況が急に・大きく変わることがあります(今回の件が、「急で・大きな」変化になるかは、今後の状況を見なければなりませんが…)。
また、国内外の競合企業が思い切った投資などをスピーディーに決めて競争環境が変わるかもしれませんし、その影響で顧客の志向も変わるかもしれません。近代的な流通の発展やEコマースの進展は、眼を見張るものがあります。
そういった環境変化の早さゆえ、「すぐに陳腐化してしまうので、事業方針や戦略を持つことに意味がない」といった意見に出会うことがあります。
しかし、いわゆる「経営戦略」の教科書によると、戦略とは「動的なものである」とあり、「変わりゆく環境変化に対応しながら目的を達成するための大方針」ということになります。
様々な困難を突破していくための”背骨”という側面もあるでしょうし、新しい変化をチャンスとして見極めるための”感度とセンス”という側面もあるでしょう。
そうだとすると、問われているのは、むしろ「我々は、世の中に何を提供する存在なのか」「我々にとって、海外進出をするというのは、何をどうすることなのか」ということであるはずです。
競合他社事例を形だけ導入することでは、環境変化に振り回されて、「経営」というものが自分たちの手からすり抜けていってしまうようなことになりかねません。
それでは、ヘンガップライ!
小川 達大
Tatsuhiro Ogawa
経営戦略コンサルティング会社Corporate Directions, Inc. (CDI) Asia Business Unit Director。同ベトナム法人General Director、同シンガポール法人Vice Presidentを兼任。 日本国内での日本企業に対する経営コンサルタント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、消費財メーカー、産業材メーカー、サービス事業など様々な業種の東南アジア展開の支援を手掛けている。ASEAN域内戦略立案・実行支援、現地企業とのパートナリング(M&A、JVづくり、PMI等)支援、グローバルマネジメント構築支援など。日本企業のアジア展開支援だけでなく、アジア企業の発展支援にも取り組んでおり、アジアビジネス圏発展への貢献に尽力している。
CDI Asia Business Unit