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2019.05.20
小川 達大
東南アジア事業を立て直したい、というコンサルティング相談が増えてきました。
ベトナムをはじめ、東南アジア展開が改めて注目されるようになってから、数年が立ちました。ところが、
・進出当時に期待していたほどには事業が立ち上がっていかない
・利益が増えない
・未だに赤字だ
という会社も多そうです。将来の日本国内の事業が楽観的とは言えないような会社にとっては、海外事業が期待から乖離することの危機感は一層深刻であるに違いありません。
背景は多岐にわたります。
新興国で市場を創造していくことがなかなか難しいこともあるでしょう。
現地やアジア系の競合企業との競争に勝つことが難しいこともあるでしょう。
現地の社員の活躍が期待に届かないこともあるかもしれません。
原材料費や人件費が想定からズレることもあるかもしれません。
ただ突き詰めると、問題が「経営の不在」であるケースが多いように思います。本社側と現地側のどちらにも経営上の監理や意志決定をしている主体がない、というようなケースです。もちろん、本社側には担当部署があるでしょうし、現地側にも法人社長や然るべき部署があるはずです。ただ、そのことと、その部署や役職において、適切な情報が集まり、処理され、適切な視野と思考で以て意志決定がされているか、ということは別の話でしょう。
例えば...
市場の全体像(現在と今後)は、誰が把握しているでしょうか。
調達・製造・営業・バックオフィスなど、機能と活動の全体が視野に入っているのは誰でしょうか。
利益率の改善について、誰が方針を持っているでしょうか。
組織と人材の中期的な発展について、誰が方針を持っているでしょうか。
また、それらは、本社と現地の関係者において、共有されているでしょうか。
日々の業務とは違った時間軸と視野の議論かもしれませんが、こういった「経営」に関することが定まっていないと、日々の業務も、進むべき方向性が見えてこないように思います。
それでは、ヘンガップライ!
小川 達大
Tatsuhiro Ogawa