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2019.01.21
小川 達大
日本で頻繁に報道されている外国人技能実習制度などの外国人労働者に関するテーマは、逆に、送り出し元であるベトナムでも報道されています。VN-Expressに掲載された記事によると、2018年にベトナムから国外に出国した労働者の人数は142,800人、対前年比で6%の成長を記録したとのことです。そのうち、日本向けは68,700人で制度開始以降初めて第1位の送り出し先となり、その次は台湾(60,400人)で、また韓国は6,500人でした。現在海外で働いている労働者の人数は580,000人で、2019年に出国する人数は現時点では120,000人と予定されているようです。
日本での報道では、外国人労働者の失踪が問題として取り上げられていますが、ベトナムでの報道でも同じく、海外に出た労働者が失踪してしまうことを問題視しています。
さて、増加傾向にある日本での外国人労働者。地域や業種にもよりますが、今や、現実的な事柄として、日本国内の企業も外国人が働くこと無しには、企業活動が立ち行かないケースも増えてきました。「日本の会社なのだから、社員は日本人だ」という考え方を修正する必要が高まっています。
少し話題を変えてみます。
中国企業のベトナム進出が増加しています。中国国内の製造コストの上昇や、国内の規制や制度の変更などの影響もあり、中国国内で製造拠点を維持する/増やすよりも、ベトナムの工場を新設/拡大する方が合理的というケースも増えてきているようです。個人的な印象としては、ベトナムに進出してきた中国企業との取引を拡大しようとする在ベトナムの日本企業が増加しているように思います。そうなってくると、日本企業のベトナム法人の中に、中国語が堪能なベトナム人社員や中国人社員がいるというケースも増えてくるでしょう。
「ベトナム法人の現地化」といえば、ベトナム人社員の活躍の場を増やしていくことを意味しがちですが、それだけでなく、ベトナム法人で中国人社員を活かす、ということも視野に入れることもあるかもしれません。また、その社員構成に適した組織・人事の制度を作っていく必要もあります。
10年ほど前と比較しても、人や企業の国境を越えた活動は活発になってきています。国境や(人や企業の)国籍という固定概念に囚われずに、今現在と少し未来の事業の状況を澄んだ目で見定めて、国境や国籍の概念を捉えなおすこと(リフレーミング Re-Framing)が大切だと思います。
それでは、ヘンガップライ!
小川 達大
Tatsuhiro Ogawa