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齋藤 志緒理
Shiori Saito
津田塾大学 学芸学部 国際関係学科卒。公益財団法人 国際文化会館 企画部を経て、1992年5月~1996年8月 タイ国チュラロンコン大学文学部に留学(タイ・スタディーズ専攻修士号取得)。1997年3月~2013年6月、株式会社インテック・ジャパン(2013年4月、株式会社リンクグローバルソリューションに改称)に勤務。在職中は、海外赴任前研修のプログラム・コーディネーター、タイ語講師を務めたほか、同社WEBサイトの連載記事やメールマガジンの執筆・編集に従事。著書に『海外生活の達人たち-世界40か国の人と暮らし』(国書刊行会)、『WIN-WIN交渉術!-ユーモア英会話でピンチをチャンスに』(ガレス・モンティースとの共著:清流出版)がある。
前号では、タイ国ラタナコーシン王朝・ラーマ4世モンクット王の時代の王宮を舞台としたブロードウェイミュージカル『王様と私』(1951年~)とその映画版(1956年)、さらに1999年制作の映画『アンナと王様』について取り上げました。 このテーマで執筆するのを機に、筆者も改めて2つの映画を...
1951年に初演されたブロードウェイミュージカル『王様と私』は、以来何度も再演を重ね、全米ツアーや全英ツアーも行われてきました。1985年に病で亡くなる直前まで王様役を務めたユル・ブリンナーはこのミュージカルを代表する役者です。日本では1965年に初演され、松本幸四郎(当時)が王様を演じま...
戦後間もない日本に、タイ国からやってきたアジアゾウが、今からちょうど2年ほど前、2016年5月26日に69歳の一生を終えました。ゾウの名前は「はな子」。今号では、「日タイ友好の懸け橋」とも言われたこのゾウにまつわる話を紹介します。 ●はな子の来日 2歳のはな子は1949年9月2日、船...
前号に続き、第2次世界大戦中(1942年6月~1943年10月)、インド・ビルマへの補給路として日本軍により建設された泰緬鉄道について述べます。今号では、カンチャナブリー県で見学できる、同鉄道にまつわる施設・場所をいくつか紹介します。 【JEATH 戦争博物館】 泰緬鉄道の歴史を後世に...
バンコクから西に約120キロに位置し、ミャンマーと国境を接するカンチャナブリー県は、面積では全タイで5番目に広く、約70%が山岳地帯です。エラワンの滝、サイヨーク国立公園など景観豊かな見どころも多いのですが、第2次世界大戦中、日本軍が敷設した「泰緬(たいめん)鉄道」の地区としても知られてい...
前号まで6回にわたり、タイ国の教育事情を扱いました。今号では、教育の話題に関連し、タイの大学生が卒業後にどのような仕事を志向するかに注目します。 大卒者がどのような職業についているか・・・これまでのところ、専門分野別や卒業大学別の包括的な比較調査は行われていませんが、水上祐二が「タイに...
前号では、タイ国のムスリムの居住状況や、公教育で宗教がどのように扱われてきたかを解説しました。今号では、タイ深南部のムスリムに向けたイスラム教育がどのように推移してきたかを、見てみましょう。 ●マレー系ムスリムへの公教育の普及 タイ国では1949年に「イスラム中央委員会―各県イスラム...
タイ国の宗教別人口構成を見ると、全人口の95%近くが仏教徒であり、イスラム教徒が4%弱、キリスト教徒とその他が残りの1%程度という割合です。仏教徒が圧倒的多数を占めるものの、仏教は「国教」ではなく、国民の信教の自由が保障されています。今号と次号では、こうした環境下、この国で「イスラム教育」...
タイの公教育における外国語教育は、この国の「国際化」の過程で整備されてきました。今号では、この国で、歴史的に常に「外国語教育」の中心にあった英語について述べ、さらに現在、英語に次ぐ学習者数を誇る中国語にも触れたいと思います。 ●外国語教育≒英語教育 タイ国は西欧列強による外圧を受け、...
タイ国で最初の大学(チュラロンコン大学)が創設されたのは1917年のことです。約100年後の2015年には、高等教育機関の総数は174校(公立が100校、私立が74校)にまで増えました。今号では、主だった国立大学の設立経緯と、その後の公開大学設置について述べます。 ●主だった国立大学の創...
タイ国における近代教育の萌芽は、19世紀半ばごろに遡ります。今号では、現代につながる学校教育の成立の流れを見てみましょう。 ●近代以前の教育(寺院とミッショナリーによる教育) 近代以前の社会では、寺院が人々の教育に大きな役割を果たしていました。仏教徒が人口の9割以上を占めるタイ国にお...
本連載では、今号から、タイ国の学校教育にまつわる話題を数回に分けて扱います。「その1」では、タイの学制の全体の枠組みを見てみましょう。 ●タイ国の学制 タイ国は、日本と同じ6-3-3制(初等教育6年、前期中等教育3年、後期中等教育3年)をとっています。1999年に制定された国家教育法...
皆さんは、ご自分が生まれた日が何曜日だったかを、ご存知でしょうか。出産が医師の手薄な日曜日で大変だった…などの特段の状況がなければ、普通は親から「あなたは何曜日生まれ」と知らされることはないでしょう。しかし、タイ人にとっては、自分が生まれた曜日は存外重要な意味を持ちます。 ...
タイ人のコミュニケーションスタイルについて取り上げている本シリーズ。過去4回で「高コンテクスト」「ホンネとタテマエ」「マイペンライ」「タイ人の微笑み」について解説しました。今号では、タイ人の「ほめ上手」で「おせっかい」な傾向を取り上げます。(タイ人全てに共通するわけではないことを、念のため...
タイ国はよく「微笑みの国、タイランド」と称されます。「観光業界が、タイの売り文句として考えた言葉である」などと言われ、「最近のバンコクでは、せわしない日常を生きる人々が、笑顔を浮かべる余裕をなくし、このフレーズがあてはまらなくなった」という現実的な声も聞かれます。とはいえ、タイ国を訪れ、現地...