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COLUMN コラム

激動するミャンマー

2020.08.04

アジア最後のフロンティア「激動するミャンマー」(77) 『ミャンマー政府のコロナ対策経済プラン』

宍戸 徳雄

コロナが終息し平穏にパゴダに祈れる日が来るか

 世界中がコロナのパンデミックに襲われる中、ミャンマーも例外でなく、ミャンマーの日常の風景も大きく変わってしまった。
 ミャンマー最大の経済都市ヤンゴン中心部のショッピングモールなどは、軒並み開店休業状態で、ゴーストタウン化している。ヤンゴンの人々の聖地であるシュエダゴンパゴダも現在、閉鎖されている。毎日熱心に仏塔へ祈るミャンマー人の姿が全く見えなくなってしまった。日本を含めた国際線の離発着は禁止されており、引き続き往来ができない状況が続いている。

 このような中、ミャンマー政府は、コロナ対策として経済救済プランを発表した。
 中央銀行の政策金利の引き下げや民間企業への緊急融資のための政府信用保証制度や、税金等の支払い繰延べなどが中心だ。

 また、一般市民向けには、1ヶ月150kwの電力料金を免除したり、貧困世帯への生活給付金の支給、食糧の無料配給、住宅ローンなどの返済猶予を金融機関へ要請したりと、様々な救済策を用意した。

 またコロナ禍の中、解雇された労働者の福利厚生に関わる権利を、以後1年間に渡り効力を維持させるなど、失業者向けの救済策も用意した。加えて、特に、零細企業、中小企業が、労働者の雇用を維持できるように。事業継続及び雇用維持のための低利融資ファンドを1,000億チャット創設した。対象となる業種については、縫製業や委託加工業、ホテル観光業が中心となる。

 ミャンマーでは農業セクター従事者が、国民の大半を占めるが、農業関連事業者向けに所得補償制度も構築した。

 前回のコラムでも書いたが、今年11月に予定通り、ミャンマーでは総選挙が実施されることになっている。

 今回、国民向けに打ち出した経済救済策が、どのような評価を受けるか、総選挙の結果へも影響をもたらすだろう。

宍戸 徳雄

Norio Shishido

PROFILE

株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役。1997年株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)に入行。法人営業部等歴任し主としてコーポレートファイナンス、外国業務に従事。2012年独立、アジア総合法律事務所のシンクタンク(調査研究機関)である株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンスを設立、代表に就任。アジア地域の法制度・判例、行政運用などの調査、ビジネス環境・マーケット調査などをメイン業務としながら、数多くの日本企業のアジア進出の実務サポートも行う。民主化直後のミャンマーにも拠点を設置(ヤンゴン)、ミャンマー政府関係者、ローカル企業にも幅広い人脈を有する。2014年にはシンガポールに法人を設立、代表に就任、アジアの起業家を結びつけるネットワークNew Asia Entrepreneur Business Network代表(シンガポール)。著書に「ミャンマー進出ガイドブック」(プレジデント社)、連載記事「沸騰ミャンマー投資1~3」(プレジデント社)などがある。その他金融機関や商工会議所等にて、アジア進出に関わる多数の実務セミナー・講演活動を行っている。一般社団法人日本ミャンマー協会所属。

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