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北原 敬之
Hiroshi Kitahara
京都産業大学経営学部教授。1978年早稲田大学商学部卒業、株式会社デンソー入社、デンソー・インターナショナル・アメリカ副社長、デンソー経営企画部担当部長、関東学院大学経済学部客員教授等を経て現職。主な論文に「日系自動車部品サプライヤーの競争力を再考する」「無意識を意識する~日本企業の海外拠点マネジメントにおける思考と行動」等。日本企業のグローバル化、自動車部品産業、異文化マネジメント等に関する講演多数。国際ビジネス研究学会、組織学会、多国籍企業学会、異文化経営学会、産業学会、経営行動科学学会、ビジネスモデル学会会員。
2019年最初のコラムです。今年もよろしくお願いします。2018年を振り返ってみると、いろいろな出来事がありましたが、注目された1つが企業やスポーツ団体におけるパワハラ事件でした。パワハラはもちろんあってはならないことです。上司や監督・コーチによる「いじめ・虐待・暴力」という典型的なパワハ...
日産自動車のゴーン会長が逮捕されたというニュースが日本でも海外でも大きな反響を呼んでいます。ゴーン氏は、経営危機に陥った日産を再建し、ルノー・日産・三菱の3社連合(アライアンス)を世界第2位の自動車企業グループに育てた国際的なプロ経営者であり、筆者も彼の逮捕に大きなショックを受けました。ゴ...
先月、日本経済団体連合会(経団連)が会員企業向けに会社説明会や面接の解禁時期などを定めた「新卒採用活動の指針」(いわゆる就活ルール)の廃止を表明したことが波紋を広げています。就活ルールの廃止によって就活時期が早まり学業に支障をきたすことを心配する大学側からの大反対や、ルールが無くなることに...
最近、人手不足を背景として、定年退職者の再雇用制度を導入・拡充する企業が増えています。今年63歳になる筆者としては、同世代のビジネスマンたちが活躍できる機会が増えることはうれしいことですが、同時に、心配な点もあります。 「定年退職前と同じ仕事をしているのに、再雇用で賃金が下がるのは不当。」...
以前に比べると少なくなりましたが、今でも、「自分は英語が下手だから」と言って海外赴任を躊躇する若手ビジネスマンがいます。確かに英語は上手い方が良いし、上手くなるために努力するのは当然ですが、英語が下手なことがそんなに深刻なことでしょうか? 英語を恐れる必要はありません。英語がそれほど上手く...
先週、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長による初の「米朝首脳会談」がシンガポールで行われ、世界中が注目する大きなニュースになりました。筆者は外交や安全保障の専門家ではありませんので、会談の結果について論評するつもりはありませんが、実現が危ぶまれていた首脳会談が開催され、「米朝の...
最近、経済雑誌やインターネットで、「アメリカのEV(電気自動車)メーカーであるテスラが、同社の最新車種であるモデル3の工場で問題が多発して、生産が大幅に遅れ、その影響で株価も大幅に値下がりしている。」というニュースが話題になっています。テスラと言えば、EVや自動運転で高い「技術力・開発力」...
「寿司ルートとハンバーガールート」、アメリカに駐在した経験をお持ちの読者はご存じだと思いますが、日本企業のアメリカ駐在員の間で昔から使われている一種の隠語で、「寿司ルート」は「日本人駐在員間の情報ルート」を意味し、「ハンバーガールート」は「アメリカ人社員間の情報ルート」を意味します。原理原...
筆者は普段あまりテレビを見ませんが、オリンピックの時は別で、今回の平昌冬季オリンピックでも、日本選手が出場した競技種目はほとんど見ました。日本選手がメダルを獲得したシーンを見ると感動し、同じ日本人として誇りに思いましたが、同時に、いくつかの競技では、企業経営やマネジメントに参考になりそうな...
先日、久しぶりに、日本在住のアメリカ人ビジネスマンである友人と食事をする機会がありました。彼は、日本での仕事にも慣れ、日本生活をエンジョイしている様子で、家族旅行ではじめて日本の温泉旅館に泊まったことを話してくれました。彼は、旅館の部屋・料理・サービスなどすべてに満足したらしく、「日本のお...
昨年、日本の大手素材メーカーや自動車メーカー等で、製品検査結果の改ざんや無資格社員による検査などの不祥事が発生し、当該企業が不祥事の原因や対策などを説明する記者会見が行われるケースが多くありました。こういう不祥事発生に伴う記者会見は、「クライシス・コミュニケーション」の一部です。「クライシ...
日本では、「エリート意識が強い」や「エリート主義者」など、「エリート」という言葉をネガティブなニュアンスで使うことが多いように感じますが、本来の意味は、「エリート」を国語辞典で引くと、「社会や集団で指導的・支配的役割を受け持つ層」、「Elite」を英和辞典で引くと、「選ばれた者,えり抜きの...
最近、「働き方改革」 という言葉がよく聞かれるようになりました。確かに、日本企業の「働き方」には色々な問題があり、これらを改善して働きやすい環境をつくることについては、筆者は大いに賛同しますが、現状の「働き方」を単純に批判するだけでは不十分だと思います。例えば、近年、男性社員も育児休暇を取...
先日、 アメリカ人の若い友人から「暑気払いにビアガーデン行きませんか?」とメールが届き、久しぶりに彼に会いました。彼は、アメリカの多国籍企業の社員で提携先の日本企業に出向している優秀なビジネスマンですが、日本での生活にも慣れ、古典的な日本語である「暑気払い」や典型的な和製英語の「ビアガーデ...
アメリカのトランプ大統領が記者会見で反トランプ色の強い放送局の記者からの質問を拒否してメディアから批判されたり、日本の政治家が記者からの執拗な質問に激怒して謝罪に追い込まれたり、「質問」は政治家にとって「鬼門」の1つのようですが、ビジネスマンにとってはどうでしょうか? ビジネスの世界でも、...
TPP(環太平洋経済連携協定)離脱に始まり、最近の「パリ協定」(COP21で採択された地球温暖化対策の新しい国際ルール)離脱に至るまで、アメリカのトランプ大統領が次々打ち出す政策に世界中が振り回される日々が続いています。筆者は専門家ではないので、トランプ氏の政策そのものについてはコメントし...
以前このコラムで、「訴訟社会アメリカの怖さ」についてお話ししました。(2015年4月のコラム№14参照) 元々、日本企業は、コンプライアンス意識が高く、法律違反やルール違反にならないよう細心の注意を払っているため、実際に法律に違反するような事案はほとんどありません。アメリカに進出してい...
多くの日本企業がアメリカに進出し、各州で拠点を展開しています。企業規模・進出時期・製品・ロケーションはそれぞれ異なりますが、「現地化」という切り口で見ると、必ずしもすべての日本企業が「現地化」に成功しているとは言い難く、現地化が進まずに、日本の本社に依存したオペレーションを続けている企業も見受けら...