文字サイズ
2016.09.27
小池 和美
外国籍人材採用という、昨今「多様性の活用」戦略のひとつに挙げられる本トピックに、気がつけば10年近く携わっております。
2000年頃から事実上本格化された「日本本社における外国籍人材の採用(海外大卒、留学生含)」は近年比較的一般的になってきており、ご検討の段階で「どのように採用をすべきか」「日本の採用とどう違うのか」等々、ご相談・設計依頼をいただく機会もありがたいことに増加し続けております。
一概に「外国籍人材の採用」と言っても、この10年でたいぶ変化をしてきた印象です。
活動を地学面から考えて大別されるのは「日本在住留学生」か「海外在住外国籍者」か。
各社様の採用におけるコスト面・人的リソース面を鑑みると、まずは「日本国内で」、「日本の新卒一括採用システム」の中で、外国籍社員を採用していこう、というのが通常です。
しかし、日本の高等教育機関の在籍留学生数は近年増加をしていますが、それでも約10万~15万人。その中には卒業年次ではない学生、1年未満の交換留学生、帰国義務付帯の奨学金などを受けて来日している学生など、フルタイムで日本の大学に在籍し、かつ卒業年次である学生割合は低く「就活市場に出てくる学生」は限定的です。
そして企業は、この限られたマーケットでの採用は、今後持続的に自社の求める人物像の獲得が困難と判断し、「優秀な人材を獲得するため海外へ出る」時代へ広がっていきました。
当初「合同イベント型」「人材紹介型」というスタイルは、地の利がない企業人事の方にとってマーケティング面でも非常に有効的な採用手法となり、多くのサービスプロバイダが誕生しました。大学レベル、語学スキル、専門スキル等、スペックで初期選考された候補者たちを紹介し、短期の海外現地滞在で外国籍社員の獲得ができるシステムです。
もちろんこのサービスは現在も有効で、限られた専門性を求める企業様や、既存職務スキルを重視する配属方法の企業様にはこの手法がもっとも効率的であると思います。
ただ、現在多くの企業様から相談をされる内容から課題考察すると
「採用時はすばらしい人材と見極め採用したが会社になじめていない」「うまく外国籍社員を活躍まで導けていない」など、採用→育成→活躍の接続部での課題意識をお持ちの企業様が多くいらっしゃると感じています。
「スペック見極めによる短期接触による採用(欧米型採用)」を実行し
「日本人新卒と同じ育成方法と配属後のキャリア形成(日本人化育成)」を接続する。
外国籍社員獲得には成功しても「組織化」ができていない、というのが実情ではないでしょうか。
グローバル時代の日本企業の人事課題。組織の「統合」と「分化」をどの軸で行うか。
そして日本国外の大学や大学生のキャリア形成に関する意識はどのようなものか。日本人学生と何が違うのか。
見て知ってきたころ、私自身が考える答え等、このコラムを通じ発信していけたらと思います。
初回ということで、かための内容でお送りしましたが、時にライトな現地情報なども交え、連載をさせていただければと思っています。
小池 和美
Kazumi Koike