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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.01.19

「悠久の国インドへの挑戦」15 評価制度 そのⅡ

藤崎 照夫

デリーの街並み

新年明けましておめでとうございます。一昨年の末から始めたこのコラムもお陰様で15回目を迎えることが出来ました。今年も読者の皆様方のインドへの理解の一助になればと頑張って行きたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

先月号で評価制度についてインド人の考え方などについて述べましたが、会社が操業を開始して3年ぐらい経過したところで「評価は業績のみでやっていいんだろうか?」という考えが浮かんできてマネージャー以上に対しては「360度評価」という制度を導入することにしました。これは所謂管理職以上の人達には組織内での行動、チームワークなどの項目で評価していくというものです。

この360度評価は図示出来れば分かりやすいのですが具体的にいえばあるマネージャーが評価対象者としますと 1)その人より上級役職者即ち部長クラス、2)その人と同クラスの役職者即ちマネージャークラス、3)その人より下級クラスの人即ち係長クラスの人達に上、横、下の三方向から評価をしてもらうというやり方でこれを360度評価と呼びます。

この1)2)3)の評価者は基本的には他部門を中心として人選しました。何故なら自部門からのみではどうしても身内意識が働いて甘い評価になる懸念が考えられた為です。それでは具体的にどのように展開したかについて述べて行きたいと思います。

1.評価項目

① 会社、部門の方針の伝達及び周知徹底がなされているかどうか

会社内では、全社的な売り上げ目標や利益目標、コストダウン目標などが決められ、各部門はそれに基いて実務展開を行いますが、その内容が部門内できちんと理解されているかどうか、また周知徹底されているかは極めて大事なことです。その実施状況を評価するものです。

② 自部門内部及び他部門とのチームプレーが出来ているかどうか

事業活動をスムーズに進めるためには、「One for all, All for one」の気持ちが大事です。これがきちんと行われている組織は、確実な成果を上げることが出来ます。

③ 部下とのコミュニケーションと育成に努力しているかどうか

これは所謂管理職としての基本的な要件の一つと言えると思います。
絶えず部下に対してコミュニケーションを取り指導をしているかどうかも大事な評価項目です。

2.評価方法

会社としては、業績目標の達成は最重要課題ですので、この業績評価を80%、そして360度評価を20%として合計したものを総合評価とすることにしました。その結果を例示すると、Aさんは業績評価は80点だったけれど360度評価が5点とすると総合点は85点となり、Bさんは業績評価は75点だけど360度評価は20点だとすると総合点は90点でBさんのほうがAさんより評価が高くなります。

この360度評価は最初のうちは試行錯誤がありましたが次第に理解をされるようになり管理職の人達が意識してチームプレーや部下の育成に気をつけるようになってきました。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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