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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.03.16

「悠久の国インドへの挑戦」17 日本的企業文化の浸透

藤崎 照夫

インドの路面店

今回は、実際の企業活動の中で如何に日本的企業文化を取り入れていったかについて、具体例を取り上げながら書き進めたいと思います。

①時間の厳守

最初に駐在した会社は、本社がデリー市内にあり工場は車で1時間半位のところにありました。この工場で月に1~2回会議がありパートナーと一緒に私も参加しました。この時に貰った会議通知には、ただ単に会議のテーマと何時から開始するかという簡単なものでした。もしパートナーや私の到着が遅れると工場の人達は会議を開始しないで待っていました。

それで私がお願いしたのは、下記のことを会議通知に具体的に記載して発行し会議を開催して欲しいということでした。

・会議目的の明記:その会議がどういう目的で行われるのかをはっきりとさせること。意思決定の会議かまたは情報交換の会議か等
・会議時間の明記:「Time is money」だから時間を無駄にしないように目的に沿って開始時間と終了時間をはっきりさせその時間内で会議を終了させるように努力をすること
・参加者の絞り込み:会議の内容に従い最少必要な人に参加してもらうようにすることー必要のない人の参加はコストアップの要因となる為

この会議通知の内容と上記のような会議の進め方をインド人スタッフが合格点が取れるようになるには約半年かかりました。

②3S、5Sの徹底

これについては日系企業ではどこの会社も教育をしているので多少の差はあれよく出来ているのではないでしょうか。

③三現主義の導入

インドではホワイトカラーとブルーカラーの意識が強いため一般的にホワイトカラーは現場で物事をやらないと考える人が多いようです。
日本では特に生産現場を抱える会社では“現場”“現物”“現実”の所謂三現主義が大事にされます。私を含む日本人はこの三現主義の導入と徹底を図り、紙に書かれたことだけで物事を判断しないように指導していきました。

④チームプレーの植え付け

日本では最近は企業内でも「個性の尊重云々」などと言われるようになってきましたが、基本的にはチームプレーを尊重する文化が大事にされていると思います。これに対してインド人は一般的には個人プレー的な行動を取る人が多々見られます。それで「チームプレー」の大事さを折に触れアドバイスするように心がけました。

⑤情報の共有化

これも一般的にはインド人は「情報の共有化」より「情報の個有化」という傾向にあります。私たちが4輪の会社で取った方法は、各部門の情報を壁に張ったボードに記載して皆が分かるようにすることでした。例えば、生産部門であれば計画vs実績という対比で、生産台数、不良率、欠勤率など日々の活動が記載され、他の部門も同様な方法を最少し所謂「見える化」を図りました。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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