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2015.04.13
藤崎 照夫
洋の東西を問わず企業経営は決して簡単ではありません。企業が計画する事業計画は政府の出す種々の政策、経済環境、自然環境、競合他社の動向、自分自身の企業体力等々沢山の要因に影響を受けます。私がインドで二度目の駐在をした時に最初に作成した事業計画は、工場の生産能力がフル生産ベースで年間3万台でしたので、出来るだけ早い時期に3万台の生産、販売を達成することを考慮して中期、長期の事業計画を作成しました。
然しながら、インド経済が当初予測したより伸び悩みまた我々の投入した新製品が高額であったので、予定した販売台数が達成出来ず、立ち上がりから赤字経営を余儀なくされました。それで今月号からこの赤字を切り抜けるためにどのように知恵を出し展開を図ったかを書き述べることにより、読者の方の多少でも参考になればと考えております。
企業が収益を改善するためには幾つかの方法が考えられます。先ず製品の値上げですが、これは経済が低迷している中では不可能でした。次に新製品の投入による販売台数の拡大ですが、これも自動車の場合はすぐに新製品の投入は出来ません。最後の手段は自らの手によるコストダウンです。立ち上がり当初の販売実績は年間12~13千台でしたが、我々は年間1万台でも利益の出る体質作りに挑戦することになりました。
これは当然のことながら全社的な活動となるので、社内に「コストダウン委員会」を組織し社長の私が委員長を務め販売、総務、経理、生産など社内の全部門が夫々部門毎の「コストダウン委員会」を作り組織編成、スケジュール作成、具体的活動内容の決定等取り組みを開始しました。ここで大事なことは全ての部門が参加をすることです。例えば「自分の部門はとても忙しいからこの活動には積極的には参加出来ない」とか「我々はコストダウン出来るような部門ではない」とか言い出したらこのコストダウン活動は成功しないと断言出来ます。
この活動を開始するに当たって、私は幾つかの基本的なことを頭の中で考えていました。それは、
①上述のように全員が参加すること:特定の部門だけに負担が掛からないようにする
②ちりも積もれば山となる:どんな小さなアイディアでも大事にする
③明るいムード作りに努める:コストダウンが実際に始まるとどうしても社内が暗いムードになりがちですがそうらないような雰囲気作りを心がける
④コストダウンの実績はきちんと従業員に開示する:コストダウンをやれやれと上から指示だけしていたのでは従業員のモチベーションンも上がりません
こんな経緯でコストダウン活動を展開することになったわけですが、次回は具体的にどんな活動を展開してコストダウンを実施したかをお話しさせて頂きます。
藤崎 照夫
Teruo Fujisaki