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2015.05.11
藤崎 照夫
先月号ではコストダウン活動を展開するに至った経由と実行に当たっての考え方を述べましたが、今月は具体的にどんな活動を実施したかについて触れて行きたいと思います。
我々がこのような活動をする際、日本では所謂3Kが先ず最初に取り上げられます。すなわち、交通費、広告費、交際費です。これらの頭文字を取り、私達は3Kと言っていましたが、日本でもバブルがはじけた後多くの飲食店が閉店したり、タクシー業界が不景気に陥ったことを御記憶されている方は多いかと思います。この3K以外にも全社的に以下のような活動を実行しました。
通信費:この活動を開始した頃は既にインドでも携帯電話が普及し始めていましたし、一般の電話が通じにくいこともあり幹部社員を中心にかなりの台数が使用されていました。それまでは使用は個人管理ということでしたが、活動後は毎月の使用実績を打ち出して総務部で前月比等をチェックして費用削減に努力しました。
光熱費:活動を開始するとすぐにオフィスの電球は半分にしました。工場は安全面の問題も考えて就業中は従来通りとしましたが、昼食時や休憩時間は出来るだけ消灯してもらいました。また、少し尾籠な話になりますが、トイレでの使用水量を調整し、金額的には少額でしたがコストダウンにつなげてもらいました。
燃料費:工場はデリーの中心部から1時間半ぐらいかかるところにあり、公共交通機関も不便だったので駐在員、インド人幹部には総数で50台を越える社用車を貸与していました。この社用車についても使用ルールを決めて上記の携帯電話と同様に個人別使用状況とガソリン代を毎月管理しかなりの金額が削減出来ました。
この部門は社内で唯一売り上げを出す部門ですから、日常の営業活動を大幅に制限することは出来ませんでしたが、彼らの日常の出張の際の交通費の削減(例えば飛行機から列車への変更、列車の等級を落とす等)や販売店訪問の際の効率的訪問スケジュールの作成や訪問人員の効率化等に努めてもらいました。
この部門には生産部門と並んで最も大きなコストダウンを私は期待していました。その理由は活動を開始した当時はまだ海外からの輸入部品が全部品の50%以上を占める状況でした。これらの輸入部品は当然のことながら物流費や輸入関税がかかり高いコストでした。これらの輸入部品を国産化部品に切り替えることが出来れば大きなコストダウンにつながる訳です。
但し、ただ単に我々が対象部品を決めることは出来ませんでした。メーカーとしてのお客様に対する品質保証は必ず守らなければならないので、国産部品に切り替える際は日本の研究所の最終承認が必要でした。それで日本にも我々の活動の背景、内容を連絡し日本を巻き込んだ活動が開始されることになりました。
藤崎 照夫
Teruo Fujisaki