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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.09.28

「悠久の国インドへの挑戦」24 従業員満足度調査(ESI)そのIII

藤崎 照夫

インドの市場

今月は先月に引続き調査の結果従業員から出された要望事項とそれに対する我々の対応について述べたいと思います。

―社員食堂に関する要望―

私達の会社は新会社でもあり、従業員とりわけ工場で働く人達は、平均年齢も若く社員食堂に関する関心は高いものがありました。
ご承知のように、食事についてはインドでは菜食主義者(ベジタリアン)と呼ばれる人達と肉類も食べるノンベジタリアンの二つのタイプに大別されます。この二つの異なった食事を調理する時は同じ調理器具を使用することは出来ません。

従って我々の会社ではベジタリアン用の食事のみを提供することになりました。食事の内容としては、アルミ製の食器に小麦粉を薄く延ばして焼いたナンと呼ばれるパンのようなものと、色々な種類のカレー料理、それにヨーグルトといったものです。食事の量については個人個人が好きなだけ注文出来るようになっていて若い人は5~6枚のナンを注文する人もいました。ご参考までに我々日本人駐在員は任意となっていて日本食の弁当を持参する人、私自身もそうでしたが、弁当と社員食堂の両方を利用する人、毎日社員食堂でベジタリアン料理を食べる人と分かれていました。

この社員食堂は無料で所轄部門である総務部、部長/課長クラス、工場の従業員で構成される食堂運営委員会が提供する食事の内容、コスト等を決めていましたが、今回の調査の結果、「食事のバリエーションを増やして欲しい」「いつも温かい料理を提供して欲しい」などの要望が出されました。
それで、食堂運営委員会のメンバーが手分けして他の日系企業やインド企業の社員食堂を訪問し、そこで提供される食事を試食させて貰い、その結果を自社の食事に反映するようにしました。

読者の皆さんの中には「なぜそこまで社員食堂にこだわるのか?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、インドではこの社員食堂に関しては、特にメーカーで生産現場を持っている会社では、従業員からの不平、不満の原因になる可能性があるため各社神経を使っています。
私が現在も顧問を務めている日系の部品会社が、日本のJETROとラジャスタン州が共同で開発した工業団地内にありますが、以前その工業団地を訪問した時に、たまたまその工業団地内での連絡会に出席する機会がありましたが、その工業団地でも会社の社員食堂の費用は会社負担ということで各社統一しているということを聞きました。

―少しくどいくらい社員食堂の件について書きましたがインドの事情を―

少しご理解頂けたのではないでしょうか。その他には従業員の要望に応えて会社の中にATMを設置したりしましたが、この調査で多くの従業員から「家族に自分達の働いている工場を見せたい」という声が寄せられましたので、それに応えるべく「創業記念日」を開催することにしましたが、これについては次回触れたいと思います。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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