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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.12.14

「悠久の国インドへの挑戦」27 創立記念日 そのIII

藤崎 照夫

インド・バンガロールにあるラールバーグ植物園

今回も創立記念日のことです。3回にも亘る内容になって恐縮ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

当日のイベントは会長と私の挨拶で開始しましたが、それが終わったところで従業員の多くの人が希望していた家族の工場見学です。
勿論当日は工場は稼働はしていませんでしたが、200名ずつぐらいのグループ毎に説明員がついて従業員と家族が車が生産される工程の順番に沿って工場見学をして行きました。

車の部品をくっつける溶接工程、その部品を塗装する工程、そして車を組み立てる工程を見て廻りました。この日のために工場はピカピカに磨きあげられて歩行ラインの塗装も綺麗に塗られていました。このメインイベントが終わった後は、子供連れの家族は会場内の芝生の上でお絵描きをしたり、レンタルで借りてきた遊具で遊んだり、徒競争をやったり思い思いに楽しんでいました。また生バンドで歌を唄う人やダンスをする人もいました。

暫くしたらお昼の時間になり皆事前に配られた食券をもって沢山並んだ屋台に向かいました。やはり食事も大事なイベントですから、委員会のメンバーは、この日はノンベジタリアン、ベジタリアン両方の食事をアレンジしました。
参加者はインド人の主食であるナンやチャパティーと呼ばれるもの、色々なカレー料理、そして子供たちの喜ぶアイスクリーム、お菓子の屋台などを順番に廻り食事をプレートにのせて芝生の上に行って家族と共に楽しみました。

幸い工場は60万平方米と広大な敷地で工場の建物の前に広い芝生の場所がありましたので、主としてこの場所が催し物と食事の場所になりました。インドに駐在されたことのある方は経験があると思いますが、インドではこのような大きなイベントの後はごみの山となります。折角綺麗な建物、工場を見てもらった後この食事の後始末をどうするかは委員の人達の腕の見せどころでした。

彼等が考えた方法は、会場の色々な場所に大きなドラム缶を沢山用意し、そのドラム缶に「USE ME」と大書しそこにごみを捨てて貰うというアイディアでした。私も見ていたら最初はごみをドラム缶ではない場所に適当に捨てている大人や子供もいましたが、それを社員の人達が一つずつ拾ってドラム缶に捨てるようにしたら家族も皆ドラム缶に直接ごみを捨てるようになりました。これで1日のスケジュール全てが終わった後もごみは一つも落ちていませんでした。私はそれを見て「ちゃんと計画し段取りをすればインド人もきちんと出来るんだ」と改めて思いました。子供たちは文房具やおもちゃをお土産に帰宅しました。この創立記念日のイベントは創立20周年を迎える現在も続いているそうです。

私がそれから10年ぐらい後に定年後この工場を訪問した際この「創立記念日は未だやっていますか?」と質問したら「今も二つの工場で家族を含めて約一万人が参加してやっています」との嬉しい答えでした。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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