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2015.04.06
原島 一男
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
アメリカのジャーナリストで作家のデイモン・ラニアン(1884-1946)は、「ボクシングの歴史の中で、ジェームズ・J・ブラドックほど、人間味あふれる人生を送った者はいない」と書きました。
「シンデレラマン」は、1935年から1937年までの世界ヘビー級チャンピオンのタイトル保持者ジェームズ・J・ブラドックの物語です。‘シンデレラマン’とは、ラニアンがブラドックにつけたニックネームです。1920年代が終りに近づいた頃、美しい妻メイ(レネー・ゼルウィガー)と可愛らしい三人の子供たちに囲まれたジミー・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、前途有望な若きボクサーとして、強力な右ストレートを武器に、栄光への階段を登っていました。
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MAE: You can't win without me behind you. 「あなたは、私の支えなしには勝てないわ」
BRADDOCK: I've been trying to tell you. 「ずっと、そう言おうと思っていた」
MAE: Maybe I understand something about 「私は、あなたが戦わなければならない
having to fight. So you just remember 理由が分かるの、 あなたが誰だか分かるわね。
who you are…You're everybody's hope. あなたは全ての人の希望の星。
You're your kid' hero... 子供たちのヒーローで、
and you are the champion of my heart... 私の心のチャンピオンなの!」
-「シンデレラマン」(Cinderella Man 2005 監督:ロン・ハワード 脚本:クリフ・ホリングワース&アキヴァ・ゴールズマン)
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これは、妻から夫に対する励ましの言葉。1935年6月13日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンを埋め尽くした観客。ラジオの前に集まった何百万人もの人々が見つめる中で、マックス・ベアとのヘビー級タイトルマッチに臨みます。
ブラドックの心のうちには、「たとえ、かすかな光でも期待をかける。希望は大切だ」という旧友ジョーの言葉がありました。
ロン・ハワード監督は「偶像的な話ではなく、アメリカ大衆の心を揺さぶったリアルなものを描きたかった」と話し、ラッセル・クロウは「アメリカの豊かさとは、この映画のように子供のことを一番に考え、身を粉にして働いた両親がいたということを思い出してほしい」と語っています。
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原島 一男
Kazuo Harashima