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COLUMN コラム

名画から選んだ美しい英語

2015.06.29

「名画から選んだ美しい英語(105)

原島 一男

“It's so simple. Two fellows meet accidentally, like you and me.”
「とても簡単です。今のあなたと僕のように二人が偶然出会う」
(見知らぬ乗客)

パトリシア・ハイスミス原作「見知らぬ乗客」。列車の中で、プロテニスのスター・プレーヤーのガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)は、見知らぬ乗客のブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)から話しかけられます。ガイは、’交換殺人’というこの突拍子もない話に驚き果てます。ブルーノは、新聞などの情報で、ガイが遊び好きの妻ミリアムに愛想をつかしてことをよく知っていました。それで、ブルーノは、自分がガイの妻を殺す代わりに、ガイが自分の父親を殺すという’交換殺人’の計画を持ちかけたのです。

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BRUNO: It’s so simple. Two fellows meet 「とても簡単です。今のあなたと僕のように
accidentally, like you and me. 二人が偶然出会う。
No connection between them at all, 二人には何の関係もない。
they never saw each other before. お互いに会ったこともない。
Each one has somebody that he’d like でも、それぞれに消したい人がいる。
to get rid of. So, they swap murders. それで交換殺人をするのです」
GUY: Swap murders? 「交換殺人を?」
BRUNO: Each fellow does the other fellow’s 「おたがいに別の相手の殺人をする。
murder. Then, there’s nothing to connect それでも、二人には何も関係がない。
them. Each one has murdered a total それぞれが完全に見知らぬ人を殺す、
stranger-- like you do my murder, あなたは私の殺人を行い、
I do yours. 私はあなたの殺人をする」

                    

-「見知らぬ乗客」(Strangers on a Train 1951  監督:アルフレッド・ヒッチコック  脚本:レイモンド・チャンドラー/ツェンジ・オーマンデ

 

原作:パトリシア・ハイスミス)
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・each one has murdered a total stranger =「それぞれが完全に見知らぬ人を殺す」
・like you do my murder, I do yours. = 「あなたが殺人をするように、私はあなたの殺人をする」

そのあと、ブルーノは勝手にその計画を実行に移し、ガイの妻ミリアムを遊園地へ誘い出し、殺してしまいます。そして、今度は君が殺人をする番だ、とガイを脅迫します。さて、追い込まれたガイは自分の身を守るために、ある決断をするのです。

サスベンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック。イギリス生まれの彼は、ハリウッドへ来るまでの20年間に23本、その後1980年に亡くなるまでに30本の合わせて53本の長編映画を作りました。

ヒッチコック映画は、日常生活で誰もが経験し得る間違いや偶然が、いかに主人公自身や恋人や家族の人生を狂わせるかを見せ、世の不思議さや奇怪さを見直すものが多く、筋の運びやカメラ手法が独特であるばかりか、使われている会話も極めて洗練されています。

原島一男著「心をなごませる感じのよい英会話」(ベレ出版)7月15日発売へ

原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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