文字サイズ
2015.11.16
原島 一男
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
ロサンゼルスの郊外、サンフェルナンドに住む人たちの生き方を描きます。カリフォルニアにはめずらしい雨続きの1日、瀕死の床にあるテレビ業界の重役とその若い妻、テレビのクイズ番組で博識ぶりを発揮する天才少年など、人それそれが生き方や過去の行動に負い目を感じています。クローディア(メローラ・ウォルターズ)もその一人です。
人の叫び声が聞こえたという通報があって、警官カーリング(ジョン・C・ライリー)がクローディアを訪ねます。
----------------------------------------------------------------------------
CLAUDIA: I had someone come to my door. 「ある人が訪ねてきたの。
Someone that I didn't want here. 来てほしくない人が。
And I told them to leave. だから帰ってと言ったのよ。
So, it's no big deal. They left. ただ、それだけ。相手は帰ったわ。
I'm sorry. すみません」
KURRING: Well, who was it? 「その人は誰でしたか?」
CLAUDIA: He's gone. I mean, it's not ... 「もう帰ったのよ。だから何も、
It's over, you know. 終わったことなの」
KURRING: Do you mind if I have a look around? 「中を見せてもらっていいですか?
For your safety? あなたの安全のために」
CLAUDIA: It’s fine. 「どうぞ。
Um... What are you looking for? それで、何を探しているんですか?」
-「マグノリア」(The Magnolia 1999 監督:ポール・トーマス・アンダーソン 脚本:ポール・トーマス・アンダーソン)
----------------------------------------------------------------------------
カーリングは、近所の人からの通報で、クローディアのところへ来たわけですから、いくつかの質問をします。
・I had someone come to my door. =「ある人が訪ねてきました」
have ~ +動詞 は、‘~させる’ という使役動詞。
・It's no big deal. =「大したことではない」
・It's over. =「終わったことです」
・Do you mind if I have a look around? For your safety? =「中を見せてもらえますか?安全のために」
Do you mind~ =「~してもよろしいでしょうか?」と相手に許可を求める定番表現。
クローディアは、It's fine.「どうぞ」と言いながらも、隠している麻薬が見つからないか、心配しています。
警官カーリングは、単に職務を実行したに過ぎないのですが、この出会いが‘ある希望’を引き出すのです。許されるはずのない過去や消えることがない苦しみも、同時に…。映画「マグノリア」は、登場人物を滑稽にまた痛烈に描きながら、危機のなかで見えざる力を探し求める人たちの生きざまを見せて行きます。
原島一男著 「心をなごませる感じ感じのよい英会話」(ベレ出版) 好評発売中
原島一男著 「映画のなかのちょっといい英語」(麗澤大学出版) 好評発売中
原島 一男
Kazuo Harashima