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2015.12.14
原島 一男
映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
大学を卒業したばかりのベンジャミン(ダスティン・ホフマン)にとって、趣味の良い服装に身を包んだロビンソン夫人(アン・バンクロフト)は大人の女性。彼女は両親の知り合いです。聞きどころは、二人だけになって、彼が精一杯の‘大人の言葉’で話そうとするのを、彼女が‘落ち着き’を持って受け止めながら、会話が進んで行くところ。
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MRS. ROBINSON: May I ask you a question? 「質問していい?
What do you think of me? 私のこと、どう思うの?」
BENJAMIN: What do you mean? 「どういう意味ですか?」
MRS. R: You’ve known me nearly all of your life. 「あなたは生まれてから、
ほとんど私のことを知っているわ。
You must have formed some opinion. 何かの意見でもあるかと思って」
BEN: Well, I’ve always thought that 「そうですね、あなたは、いつも、
you were a very…nice…person. とても、よい人だと思っていました」
-「卒業」(The Graduate 1967 監督:マイク・ニコルズ 脚本:カルダー・ウィリンガム、バック・ヘンリー)
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ロビンソン夫人から思いがけない質問をされ、戸惑うベンジャミン。同時に、彼女に惹かれる気持ちを否定できません。その辺の大人と子供の駆け引きを、この映画は、おもしろく見せます。 それで、事態がどう発展するかは映画を観ることにして、ここで、英会話の基礎を復習しましょう。
・ May I ~? (~していいですか?)を使って、相手に許可を求める言い方。
・ What do you think ~? (あなたは~をどう思いますか?)と相手に意見を求める言い方。
・ What do you mean? (どういう意味ですか?)は、相手の言うことがよく分からなかったときの聞き直し方。
この二つは、今のことを話しているのですから現在形。
・ You’ve known me... (あなたはずっと私のこと知っている)と現在完了形(have + 動詞の過去分詞)を使っているのは、これまでの経過を話しているから。
・ You must have formed some opinion.(何らかの意見を持っているに違いない)
これは、must (~に違いない)+ 現在完了形で、経過を説明している。
・ I’ve always thought that ~ は、「いつもずっと思い続けている」と経験を表わす現在完了形。
このように英語は時制の選び方が大切です。つまり、現在形(現在のこと/今の習慣)、過去形(過去のこと)、現在完了形(経験/経過)などを、はっきり区別することを意識しましょう。英語をうまく話すには、このルールを身につけるだけでいいのです。
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原島 一男
Kazuo Harashima