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COLUMN コラム

名画から選んだ美しい英語

2016.06.06

「名画から選んだ美しい英語」(117)

原島 一男

“And then what?”“And then nothing.”
「それから、どうしたの?」「それから、なんにも」
(幸福の条件)

映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
建築家のデヴィッド(ウッディ・ハレルソン)と妻のダイアナ(デミ・ムーア)は相思相愛。仕事も結婚生活もすべて順調で、文句のない毎日を送っていました。ところが、不況の波が彼らの経済を一撃。最後の望みをラスベガスのカジノに託しますが、すべてを失ってしまいます。そこへ実業家ジョン・ケージ(ロバート・レッドフォード)がデヴィッドに「不埒な申し出」(Indecent Proposal)をします。「100万ドルで一晩奥さんを提供する」。二人は、悩んだ末、一時的なことで将来のことに役立つなら、「何もなかったと忘れてしまえばいい」と、この申し出を受け入れてしまいます。これは、デヴィッドとダイアナの会話。

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DAVID: He took you to a boat? 「その人はきみをヨットに連れていった?
In Nevada? ネヴァダで?」
DIANA: We flew to Santa Barbara. 「サンタバーバラへ飛んだわ」
DAVID: What kind of boat? 「どんなヨットで?」
DIANA: A big boat. 「大きなヨット」
DAVID: And then what? 「それから、どうしたの?」
DIANA: And then nothing. 「それから、なんにも」

-「幸福の条件」(Indecent Proposal 1993 監督:エイドリアン・ライン 脚本:スチュワート・ブルムバーグ)
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・And then what? =And then what did he do?
・And then nothing. =And then nothing happened.

これで、単語の羅列だけで会話ができるということが、よくわかります。
そうした言葉の少ないシンプルな会話のほうが相手に与えるインパクトが強い。デヴィッドはダイアナが何をしたか知りたい、だからこそ、単語を重ねて質問しているのです。単語を並べるだけですから、すぐ、まねできるかも。しかし、場所と相手を意識した上で、カジュアルな場面でどうぞ。
映画は、このあと思いがけない展開をします。

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原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE
一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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